2020年01月12日
タイニーメモリー
小芝神社を右に曲がって 4けん目にあった。
ゆみちゃんの家だ。
俺が 小学校5年の 夏のことだ。
俺らの頃は ほとんど外で いろんなイタズラをして 遊んでいたが
その日は なぜか ゆみちゃんの家に遊びにいった。
ふたりで笑い 楽しく遊んだ。 すると
やさしそうなお母さんが 俺の所に来て
” いつも ゆみ と遊んでくれて ありがとう。” って
ホットケーキを作ってくれた。 すごくおいしかった。
そん時の おかあさんの本当にやさしそうな笑顔が焼き付いている。
その2日後だった。
いつも通り 学校から帰ってきて玄関あけて ランドセルをほっぽりなげた。
飛び出て走り出した 、、、
ふと 庭先で
おふくろと となりの おばちゃんの話してる声が聞こえた。
” ゆみちゃんち 昨日 夜逃げしちゃったのよ 。
奥さんが たいへんだったみたいよ。 もぬけのからよ ”
5年でバカな俺は 夜逃げ の意味がよくわからない 。。。。
とにかく突っ走った 、、、
小芝神社の角をまがると
見かけない数人の大人たちが ゆみちゃんちを覗き込んでいる 、、、 誰もいない。
小さな自転車もない 。。。
見かけないオッサン達の中の いばり散らかしそうな一人が 俺に
” きみ この家の人のこと知ってんの ? ” って いやーな感じで聞いてきた。
俺は そいつの目を睨んで ” うるせー ! ”
って言って アスファルトだけ見て 歩き去った 。。。
なんか悲しくて 胸が苦しかった 。
はじめて 夜逃げってのを知ったのは その日だった。
2日前の ゆみちゃんの笑い声と おかあさんの笑顔が 忘れられない 。
さよならも言えずに 突然いなくなってしまったあの感覚 、
胸いっぱいになる感覚 ってのを初めて知った 。
Posted by SideWalkTalk at 14:49│Comments(0)
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